目次
【Ideologie】
歴史的・社会的立場に基づいて形成される、基本的なものの考え方。観念形態。
ナショナリズム
ある時は他国侵略の正当化として、ある時はその侵略からの解放として用いられるイデオロギー。共同体内の人間への強烈な憧憬と、共同体外の人間への強烈な憎悪を呼び起こすのが特徴。原型はフランス革命時の国民主義にあったが、ナポレオンの他国侵入の際には諸国民の戦いという形で「民族」が中心的となり、鼓舞されるに至った。日本においては郷土愛や家族愛の延長とみなされがちだが、郷土愛や家族愛が近きに濃く、遠きに薄い一方で、ナショナリズムは一つの抽象に向かう集約性・均一性を伴うことから、性質上異なるものだとされる。
資本主義
社会形態:モノーモノ→モノーカネ→カネーカネの終極点。成立時期は諸説あるが、おおよそ封建制度以後現れた世界システムであるとされる。自由の下で貴賤による身分制を滅ぼし、同じ自由の下で貧富による新たな身分制を生み出した天邪鬼。この資本主義社会においては、土地や機械を持たない大多数の労働者は自らの労働力を売ることで最低限の生活資金を得て暮らす。一方、もたらされる労働市場の拡大は、国家、民族、文化のボーダーレス化を促す。
社会主義
自由経済という偶像神に抗して生まれた思想であり、資本主義の鬼子とも言える存在。キリスト教や仏教などと融合することもあるが基本的には無神論である。歴史的に社会主義という名を冠する政党・国家は多数あるものの、その実態は様々である。共通項を見出すとすれば以下の項目が挙げられる。
1.鉄道、石炭といった生産的資源の政府所有
2.利潤でなく効用を重視した計画化
3.福祉サービスを目的とした課税=所得の再分配
4.投票等非暴力的手段による民主的革命
共産主義
社会主義を発展の初期段階の一とし、その次にあるとされる社会形態。家族→国家→社会の近代的プロセスに則り、私有財産制を廃して財産を共有化・再分配するといった政治手段をとる。マルクス主義に至っては、利潤を求め合う資本家と労働者間の階級衝突が不可避であることと、市場規模とのアンマッチによる過剰生産恐慌の到来が資本主義の自壊を招くと予告されていることから、黙示録的色彩を帯びており、「神なき宗教」とも言われる。
アナキズム
社会主義の理念が「平等」であるならば、アナキズムは「自由」。格差是正を標榜しつつ、そのための統治機構・権威を一切を否定するため、強権志向の共産主義とは犬猿の仲である。”個”を優先するものもあれば”群”を優先するものもあり、あまり統一性はない。反独裁の思想でありながら独裁に転化する危険性を秘めており、一説ではファシズムと親和性が高いとされる。主な支持層はボヘミアン貴族、時計職人など専門技術を有した職人団体、芸術家。